Everything's Gone Green

感想などです

3/5に見た映画

アシュラ

極悪市長! 姑息な検察! ダーティコップと重病の妻! 陰謀! 癒着! 暴力! でかい鉈と手斧! 情念! 暴力!

……といった要素を全部ぶちこんでミキサーにかけて公衆便所の床(タイル張り)にぶちまけたようなド傑作。やっぱり韓国のヤクザ映画は暴力一発一発に到るまでの情念の積み重ね方が上手いですね。情念情念アンド暴力。親分に対するものや兄弟分に対するもの、浮世の義理が呼び寄せてしまったものやそれ以外。全てに対して「こうなることはわかっていた。これ以外にどうしようもなかった」という破局に向けて全力疾走するおっさんたちの姿が眩しすぎた一本。

 

 とにかく極悪な市長役のファン・ジョンミンが絶妙に悪くて、ニコニコしながら人間をバリバリ殺す指示を出せるおじさんの役だったんですけど、「ベテラン」のあの型破りな刑事と同一人物とはとても思えない極悪ぶりでした。あと主役の汚職警官がストーリーがすすむにつれてあからさまにくたびれていくのがすごくよかった。超悪い市長とクソみたいな検察の板挟みになる役なんでそりゃあくたびれてないとおかしいんですけど。あと、ストーリーを転がす小道具としてスマホがバリバリ登場するのが印象的でした。多分警察の仕事とかスマホなしでは成り立たないんだろうなあ。

 

 「新しき世界」より泥臭く、「県警対組織暴力」並みに面白い取り調べシーンがあり、血みどろの情念はてんこ盛り。破滅に向かって突き進む暴力暴走特急。最高でした。

 

お嬢さん

 日本統治下の朝鮮半島で女の性欲と女の性欲がぶつかり合う! ところがその背後には巨悪がいたので女の性欲がツープラトンでぶっつぶす! みたいな映画。

 

 なんとなくなんだけど、「座頭市対用心棒」というか「マジンガーZゲッターロボ」というか、そういう感じの印象があった映画なんだけど、女性同士の感情の機微を追いつつめっちゃエロいシーンもあり(レズセックスなんですよ、これが)。隣で見ていた韓国系の女子2人がケラケラ笑いながら見ていたのが印象的でした。

 

 しかし主役2人が統治側の男性によるクソどす黒い欲望(春画のテキストを音読させたりする)をすり抜けていく痛快なストーリーではあるのですが、その男性側のやらせていることがなんとなく馬鹿馬鹿しい感じに見えるように描写されていたのが印象的(自動障子開閉装置や体位再現用木人が天井から吊られて出てくるところなど)だったんだけど、あれ多分ガチで描写すると全く笑えない感じになるからなんだろうなあ、という感じ。多分なんというか、強姦に近い描写になりますよねあれ。まだ変な朗読会の描写で済ませたというのは、作り手側の気遣いだったのかなと思ったっす