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Everything's Gone Green

感想などです

おれは何を考えて機甲兵装の模型を作っていたのか バンシー編

 前回に引き続き機甲兵装の模型のことを書こうと思う。今回は前のエントリのコメント欄にちょろっとリクエストをいただいていたバンシーについて。

 

 バンシー、難しい機体である。基本的に機龍警察に登場するメカはけっこうふんわりとしか描写されない。だけど、バンシーは人一倍感情的ながら互いにそれを押し殺している女性キャラクター2名から様々な思いの込められた視線をバンバンぶつけられている機体であり、ゆえに機体の形状や機能に関する描写は他の機体と変わらないのに機体に関するフレーバーテキストは本文中にけっこうある、という状態になっている。なんとなくそのへんのフレーバーテキストの情報を拾いつつ拾わない感じで立体にできるといいな、と作る前に思った。そういうのはやりすぎるとかっこ悪いので、あくまで雰囲気程度にしたいと考えたわけである。ちなみにこのバンシーの前にフィアボルグとバーゲストは完成させていたので、やっぱり主役メカ3機は揃えたいという理由があったのは言わずもがな。

 

 というわけで例によって作る前に「こうなっているといいかな」というポイントをまとめたわけなんだけど、それは大体「遠目に見るとケープを被った人みたいに見えるシルエット」「なんとなく全体に西洋の甲冑っぽい雰囲気」「細いところは細く」「見るからに火力がありそうな感じ」「顔がない、不気味な機体」「ディテールは他の龍機兵同様アーロン・ベックっぽい感じ」くらい。ここまで明文化したわけではないけど、大体そういうニュアンスを満たせればいいかなと。

 

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 頭と胸部〜腰あたりまでを一番最初に作る。ここに太もものブロックをくっつけ、スネの長さで全体のボリュームを調整すると大外れにはならない……と思う。そう思っていたんですよこの時点では。

 

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 バンシー最大の特徴が背中の大型装備。背面には内径3㎜のポリキャップを埋め込んでおき、完成後も取り外しできるように。ここで作ったのはヘルファイアミサイル2本を取り付けた3号装備。ミサイルチューブは東急ハンズで買ってきたアクリルパイプだ。ヘルファイア自体は全長170㎝程度のミサイルなんだけど、後端にはミサイルの排気ノズルからの爆炎を散らすためのペレットが充塡されているという体でチューブ自体は長めに製作。特捜部のトレーラーにはこのミサイルチューブが数本積んであり、リロードの際には三号装備の両翼にあるハードポイントからチューブを取り外して装填されているものに取り替える……という感じを想定しております。

 

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 三号装備も本文では「蝶の羽根みたいな形」と書いてある。これを読んでハタと困ってしまった。長さ170㎝のミサイルが付いているのに形が蝶……。悩んだ末、真ん中にはミサイル照準用のレーダーが搭載されており、その左右に広がる形でハードポイント兼なんらかの電子装備を積んだブレードがついているという体裁でいくことにした。ちなみにこの羽根の部分はアメリカ海軍の無人機X-47の主翼をぶったぎって蝶の羽根っぽくくっつけなおしたものである。

 

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 というわけでなんとか人間の恰好にまで持っていったわけなんだけど、どうにもプロポーションがドン臭い。足が短くて胴体が長い。なんかダサい。パイロットのライザは「プロポーションがいい」とハッキリ書いてあるのにこれはいかん。ということで、急遽股関節の位置とスネから下の長さを調整することに。

 

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 こちらが調整後。これはけっこう工作が進んじゃった後の写真なので色々部品がくっついているけど、機体の高さはあんまり変えていないけど股関節の位置が高くなり脚が伸びたのがおわかりいただけるだろうか。ほんとはこんな恰好だと中に人間が入るのは無理そうだけど、まあこっちのほうがかっこいいのでこれでいいのである。

 

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 バンシー名物の飛び出す手槍は、プラの部品でやると絶対に折れるなと思ったので近所の金物屋で千枚通しをふたつ買ってきてこの先端部分を使うことに。で、千枚通しのグリップを分解したんだけど、千枚通しというのは非常に頑丈にできている。とにかく木製のグリップをノコギリで切ろうが金槌で叩こうがなかなか分解できず、最終的には使い古しのニッパーで金属の軸のまわりをバリバリと割り砕くような感じでようやく分解できた。二度とやりたくない作業である。

 

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 取り出した千枚通しの中身。一本につき1時間くらいかかった。

 

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 塗装前、ほぼ組み立てが終わったバンシー。実は全体のプロポーションと同時に肩の装甲の取り付け位置も調整している。それまでは首の左右に金属の軸を生やしてそこに肩装甲の根元を突き刺していたんだけど、なんか肩幅が狭くて貧相かつ窮屈な感じに見えるな〜と思い、いろんなところに着けたり外したりすることに。最終的には肩の後ろのあたりに90°に曲げた金属線を打ち込んで肩装甲の後ろから支える感じに。そうすることで肩の装甲自体が前方に向けて開いた感じになり、より体積があって強そうになった……気がする。上の方にある全体の写真とこの写真を見比べてもらうとけっこう肩まわりの印象が違うのがわかるのでは……。

 あと、頭の形状も最後まで迷ったけど、結局はヘルメットっぽく丸い形にまとめた。やっぱり曲面が多いと書いてある機体なので、一番目に付く部分が丸っこいというのは重要なんじゃないかと思った次第。実際この模型は本文に書いてあるほど曲面が多いわけではないかな〜という感じなので、頭くらいは丸っこいフォルムじゃないとアカンやろと思ったわけである。あと単純に形を削る前の頭はけっこうダサかったというのもある。これも上の方の写真と見比べてみると違いがわかるはず。

 

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 塗装。缶スプレーで一度真っ黒に塗ってからエアブラシで白を吹き付ける。なんせ黒いものを白く塗る必要があるので、隠蔽力が強いといわれているガイアノーツの塗料を使ったら本当に一発で白くなった。この時点で「バンシーじゃん!」とテンションが上がる。

 

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 細かいところを塗り分ける。もうこれで完成でよくない?という気持ちになる。なんせ大きいミサイルを背負っているので塗る手間が2体ぶんくらいある。割と途中でイヤになった。

 

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 「SIPD PD3」の文字は左肩に。なんせここくらいしか貼れる面積のある部分がない。

 

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 つづいて全体にコーションを貼る。これも貼る部分が2体ぶんある感じの作業だったので途中でウンザリするんだけど、これをやらないと全体の印象が締まらないんだから仕方ない。これらのコーションマークは特別意味があって貼っているのではなく「ここにはなんか文字っぽい情報がないとボンヤリするな〜」みたいな判断基準で貼っているので、おれの機甲兵装の模型にはガンダムセンチュリー的な気持ちはあってもガンダムセンチネル的な厳密さはない。やはりセンチネルはすごいのである。

 

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 ウォ〜〜ッと全体をウォッシングして完成。白なので汚れが目立ちまくる。思ったより汚れちゃったな〜〜と思いつつ、これくらいやんないと見栄えがしないヘッポコ模型なので仕方がない。

 

 というわけで駆け足だったけどバンシーが完成した。人間の恰好をしたものはちょっとでもプロポーションのバランスを間違えると途端にダサくなるので難しいっすね。でもとりあえずこれで龍機兵三機はできたので満足満足……と思っていたところ、これが完成したちょっと後に色々な人たちから「なんでキキモラを作らないんですか!?」と言われてキキモラをやり、さらに「キキモラあるのに他の悪役がないのはなあ……」ということでその他の悪役メカも作ることになったのだった。