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Everything's Gone Green

感想などです

おれは何を考えて機甲兵装の模型を作っていたのか フィアボルグ編

 先日コミケで機龍警察の本を売ってきた。おかげさまでいろんな方から内容を褒めていただき、大変ありがたい限りである。で、そこで「この模型ってどうやって作ったの?」と聞かれることが多かったので、照れくさいけどこれはこれで面白いかもしれないと思い、このエントリを書いているという次第である。なお、この文章は機龍警察読者以外は色々と置いてけぼりにする内容になっている。ごめんなさい。

 

 おれが機甲兵装の模型を作ろうと思った直接の動機は、それはもう機龍警察が面白かったからである。作中では重要なガジェットである機甲兵装だがあんまり文章から実態が掴みにくいところもあって、「小説からどれだけ情報を掴んで盛り込めるか」というトライアルがしてみたかったというのもある。なにぶん小説に出てくる挿絵がないメカの立体を作るのは初めてだったので、ちょっとした腕試し的な気分もあった。

 

 機龍警察に登場するメカを立体にする上でひとつのスジとして考えたのが「もしニール・ブロムカンプが機龍警察を映画にしたら」というものだった。ご多分に漏れずおれもブロムカンプ映画でメカデザインを務めたアーロン・ベックのデザインには殺られたクチである。アーロン・ベックのデザインの何がすごいって、まったく気負いが感じられないところだと思う。主役メカだから強そうにしようとか、雑魚だから弱そうにしようとか、メカごとにこういう個性をつけよう、という所作が一切読み取れない。「こういう機能のものだからこういう形になっただけで、作劇上の都合は特に考えてない」というような、一種の身もフタもなさが漂っている。洋ゲー系のデザインの文脈とも全く異なる、本当に最近の米軍の兵器が持っているのと同じ「それを言っちゃあおしまいよ」というような、即物的な手触りがある。かっこいい。

 

Aaron Beck

↑身もフタもないメカデザインの殿堂。何回見ても最高。

 

Art of Vitaly Bulgarov

ArtStation - Neo Japan 2202, Johnson Ting

↑このへんのメカのノリも参考にしました。当然ながらおれよりこの人たちの方がウン万倍も上手いけど。

 

 よく「ラフスケッチとか書かないの?」と聞かれるけど、おれはラフはほぼ書かないです。その代わりに「この模型はここがこうなっていないとイヤだな〜」という条件のようなものを考える。フィアボルグに関して言えば「猫背」「なんとなく不気味」「顔が判然としない」「ディテールは人間と全然違うけど遠目に見ると人間の格好に見える」「正義の味方っぽくない外見」というあたり。この条件がはっきりしていると、部品を選ぶのにも形状を出すのにもあんまり迷わない……ような気がする……。とにかく、そういう条件に沿った部品を探して貼り付けるのである。

 

 で、実作業。まず脚から作り、全体のボリューム感を見てみることに。スケールはフィギュアのインジェクションキットがたくさん出ている1/16に決定。

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 脛から先の白い部分は5㎜の角棒。タミヤの5㎜角棒がなくなったらおれは模型を作れない。

 

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 横のは1/16のフィギュア。「人間が大体この大きさかな〜」というのを見ながら作るために出てきてもらいました。

 

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 先に骨組みだけ作っちゃって、この時点で大体自立するバランスの当たりをつけておく。よほどのことがない限り、大体この時点のバランスのまんまで立ちます。

 

 

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 頭とかくっつけた後。このあたりで大体最終的な完成形が見えているようなそうでもないような……という感じ。まあ後からいくらでもつじつまは合うだろ……と思いながらやっていく。

 

 

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 機体の中にエポキシパテをガンガン突っ込んで固め、関節のシーリング部分などにもパテをくっつける。中身にパテが詰まるとなんだか模型自体もシャキッとして見える。

 

 

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 ほぼ組み立てが終わった状態。腰の後ろにあるのは劇中にも出てくるクソでかいナイフの鞘。こうして順を追って見ると、どこにどういう順番で部品がくっついていったかわか……らないですね。おれですら何を考えて作ったか、細かいところは忘れております……。正直このあたりの工程はかなり行ったり来たり、部品をつけたり外したりというのを繰り返しているので作っている人間ですらなんだかよくわからなかったりする。

 

 で、ここまで作って困ったのが塗装である。原作の小説には「ダークカーキ基調の都市迷彩」みたいなことが書いてあるが、そう言われても……という感じである。なんせそんな迷彩は見た事がない。ウンウン言いながら画像検索していたら、

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こういうコントローラーの画像があった。ダークカーキの都市迷彩ってこれなんじゃないのか!しかもこのコントローラーのグレー部分はイスラエルの戦車に塗られているのとほぼ同じ色に見える。ということで、配色に関してはこのコントローラーの色をそのまま流用することに。

 

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 全体に黒のスプレーを吹いて

 

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 カーキ色を筆塗り。で、

 

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 合板にマスキングテープをたくさん貼りつけて碁盤の目状にナイフで切れ目を入れて

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 たくさん貼って、その上からエアブラシで塗装。

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 2色めを塗ったらまたマスキングして

 

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 3色めも塗る。大変だった。

 

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 そんで細かいところを塗り分ける。背面のゾイドキャップがオレンジ色なのは龍骨外部接続用ハッチのフタだから……と思って塗っていた。

 

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 指の先端がオレンジな理由は、劇中では動いている機甲兵装の手足の先端が触れただけでも機動隊員がミンチになったりしていたので、警察の機体なんだからそんな危ない物は目立たせないとダメでしょ、というのと、このあたりに派手な色があってほしいというおれの願望のハイブリッドです。

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 これもものすごくやりたかった「PD1 SIPD」の表示。ウェーブのデカールです。

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 いろんなところにデカールを貼って耳なし芳一状態に。

 

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 そんで表面に軽く汚しを入れてツヤ消しのコートをかけて完成。

 

 以上、駆け足だったけど、作業自体はなんか5日くらいしかやっていないっぽいのでかなり手荒である。ひとまず猫背で何を考えているのかよくわからない、善玉っぽくない外見の機体というのはなんとなく達成できたと思うんですが、どうなんでしょうね実際。他の機体に関しても需要があったら書くので是非ご意見お寄せくださいませ。