Everything's Gone Green

感想などです

趣味に性別を持ち込まないでほしい

 おれは模型を趣味にしている。模型といってもプラモデル、ランナーに部品がついていてそれをもぎって組み立てて色を塗る類いの遊びだ。この遊びは長年「男の子のホビー」とされてきたからか、はたまた模型化されるネタが車に戦車に軍艦に飛行機にロボットとモロに男児好みのものばかりだからか、とにかく女性の愛好者がいない遊びである(ゼロではない)。体感的には愛好者の95%以上が男性で占められている趣味と言っていいと思う。

 

 だからといってはなんだけど、女性が模型をやっているとチヤホヤされる。ものすごくチヤホヤされる。スケールモデル中心のサークル(そういうものが世の中にはあるんですよ)にホイと入れば、皆のチヤホヤと親切のパワーによって道具もキットも一銭も出さずに揃うのではないか。チヤホヤされるだけならともかく、望まぬモテ方をして人間関係がこじれることもあるかもしれない(それはまあどこに行っても同じかもしれないですが)。近年では模型に近しい(まあ全然違うんだけど)趣味であるサバゲがこういう状況からの脱皮になんとなく半分成功した空気を出しているのに比べ、模型はユーザーの年齢の高さ、不器用さ、その他諸々の事情が絡み合って現在でもこういう「女子慣れしていないオタサークル」独特の空気が濃い。残念ながら。

 

 上記の事情は、まあ悲しいことだけど仕方がない。誰が悪いわけでもないと思う。そうなんだけど、おれがなんとなくケツの座りが悪いなあと思うのは「女子モデラー」みたいな、「○○女子」的言い回しの周りに立ち上る何とも言えないモヤモヤした手触りの不快感だ。

 

 ぶっちゃけちゃうと、「その"女子モデラー"って括りは必要ですか?」と問いたくなるのである。そもそも「○○女子」みたいな言い回しには独特のオッサン臭さがある気がして嫌いなんだけど、さらに言えば「女子モデラー」という括り自体が彼女らの作る模型の幅を狭めていやしないかと思うのである。「女性ならではの感性で模型を製作〜」みたいな感じで紹介される彼女らの作例はどういうわけか決まってパステルピンクに塗られたガンプラにラインストーンが貼り付けられたアレだ。いや、聞くけど女子って全員ラインストーン貼ったガンプラ好きなの? おれからすると全然かっこよくも可愛くもない中途半端なものに見えるので、ものすごく疑問である。というかこのラインストーンが貼られたガンプラには、ひと頃話題になったダサピンク問題同様の「女子はパステルピンクの光り物が好きだろ」という雑すぎる決め込みが介在しているように見えて仕方ないのだ。

 

 かと言ってガチのスケールモデルなどを製作しても「女子なのにすごい」という形容から逃れることはできないだろう。女性が作った以上、どれだけ上手い模型が完成したとしても「女子なのにすごいね〜」という評価は多分不可避だ。普通に褒めりゃあいいじゃねえかと思うが。大体おれの経験上、模型を作ったことのない男性と模型を作ったことのない女性に同じ作業をやらせた場合、女性のほうが上手くこなすことが多い。元々模型が向いている人も多いはずなのに、「女性なのに上手い」というのはちょっとなあと思う。

 

 「女子モデラー」という括り自体を内在化させ、おっさんだらけのモデラー界隈に過剰適応してしまった女性モデラー、というところまで行っちゃった存在はおれは直接眼にしたことはない。が、多分そういう人もすでに世の中に生まれているのだろうと思う。これが仕事で、そうしないと出世できんとかそういう話ならわからなくはないけど、模型は趣味である。趣味なのにそういうクソみたいなソーシャル感を味わうのはおれは御免だ。

 

 そもそも趣味に性別を持ち込み、不要な線引きをすること自体が野蛮でセンスも教養も余裕もなく、そうすることによってしか自己を規定できないウンコ野郎のやることである。というか模型は手を動かして作品を作る趣味であり、根本的に性別も年齢も関係ない遊びだ。女性が兵器の模型を作ってもいいし、男性がネイルアートで遊んでも、他人に迷惑をかけなければ後は勝手にすればいいという話。とにかく「女子○○」「○○女子」(○○には任意の趣味を入れてね)という言い回し自体が根絶される世の中をおれは切に望んでいる。というか単にノイズにしかならないので、男女問わず趣味に性別を持ち込むのはやめてくれませんかね、本当に。

 

 

(と、書いたんだけど、実際模型という遊びがこれからも存続するためには「模型を作るとモテる」くらいのイノベーションが必要だよなあとは思っている。けどまあ、これは別の話なんで別の機会に……)